
2023年秋、12年の時を経て待望のフルモデルチェンジを果たした、がまかつの磯竿「がま磯 アテンダー3」。伝統の“胴調子”を受け継ぎながら、最新技術で劇的な進化を遂げたと、発売前から大きな注目を集めています。
しかし、カタログスペックだけでは分からないのが磯竿の真価。
- 前作のアテンダー2と比べて、具体的に何が変わったの?
- ”究極の胴調子”って言うけど、実際の操作感はどうなの?
- 大物を掛けた時の竿の粘りやパワーは?
特に高価格帯のロッドだけに、購入を検討している方にとっては、リアルな使用感が何よりも気になるところでしょう。
そこでこの記事では、私自身が実際に「アテンダー3」を購入し、磯の現場で使い込んで感じたリアルなインプレッションをお届けします。
手にした瞬間の質感から、仕掛けの投入、魚とのやり取りに至るまで、“がま磯イズム”とも言うべき伝統と革新がどのように融合されているのか。そして、各部のデザインや搭載されている最新機能についても、写真を交えながら詳しく解説していきます。
この記事を読めば、12年分の進化が凝縮された「アテンダー3」の真価が手に取るように分かります。購入前の最終判断材料として、あるいは最新磯竿の動向を知る情報源として、ぜひ最後まで読んでみてください。
操作性と粘りの“理想的融合” 。アテンダー3が「買い」である核心的理由
なぜ、私ががま磯「アテンダー3」を「買い」だと断言できるのか? その核心的な理由は、磯釣りにおいて最も重要な二つの局面における性能が、かつてないレベルで両立・昇華されているからです。
具体的には、以下の2点に集約されます。
- 魚を掛けるまで:異次元の「操作性」
- 魚を掛けてから:深化された「やり取り性能(粘りとパワー)」
特筆すべきは、「操作性」が劇的に向上している点です。 前作アテンダー2や、同じ胴調子の代表格であるマスターモデル2シリーズと比較しても、アテンダー3の操作感は明らかに一線を画します。
従来の「胴調子竿」は、やり取り性能を最大限に引き出すため、仕掛けの投入精度、繊細なラインメンディング、瞬時のアワセといった操作性においては、ある程度の”重さ”や”ダルさ”を感じさせる場面がありました。これは胴調子の特性上、仕方のないトレードオフとされてきた部分です。
アテンダー3は革新的な設計思想により、胴調子の”常識”とも言えた弱点を完全に克服。まるで軽量な先調子竿を振っているかのような、驚くほど軽快でシャープな操作感を実現しました。
もちろん、それだけではありません。胴調子竿の真骨頂である「やり取り性能」も、新技術「ウルトラASD」と「TMS(タフマトリクスシステム)」の搭載により、さらに磨きがかかっています。継ぎ目を感じさせないスムーズな曲がり込みで魚の引きを竿全体でしなやかに受け止めると同時に、粘りとパワーが向上したブランクスで、より確実に、より安心してターゲットを浮かせることが可能。
つまり、アテンダー3とは先調子竿が持つ「操作性の高さ(=掛けやすさ)」と、胴調子竿が持つ「やり取り性能の高さ(=獲りやすさ)」という、双方の長所を高次元で併せ持つ竿なのです。

アテンダー3を使えば「高確率で魚を掛け、掛けた魚を高確率で獲る」という理想が実現しやすくなります。
操作性も、やり取り性能も、どちらも一切妥協したくない。アテンダー3は、そんな釣り人の”欲張り”な要求に最高レベルで応えてくれる一本と言えるでしょう。2025年4月現在の、がまかつ上物磯竿ラインナップにおいて、最も死角が少なく、総合力で群を抜く存在――それが、アテンダー3が「買い」であると私が断言する理由です。
アテンダー3はどんな竿か?「先調子感覚の胴調子」という新境地
前項で「買い」と結論付けたがま磯「アテンダー3」。では、この竿はどんな竿なのでしょうか? その核心を一言で表現すると『操作時には先調子、掛けてからは胴調子』という、相反する特性を極めて高い次元で両立させた、まさに“新境地”の磯竿です。
がま磯の伝統、特にアテンダーシリーズの系譜を受け継ぐモデルとして、アテンダー3も基本は「胴調子」です。竿全体がしなやかに曲がり込み、魚の急な突っ込みを竿全体で吸収・分散させることで、細いハリスの使用を可能にし、大型魚とも安心して対峙できる安定感を持っています。これは、歴代アテンダーが培ってきた信頼の性能です。
しかし、アテンダー3が“新境地”と称される理由は、卓越した「操作性」にあります。
- 穂先部分を従来より短く設計した「先短設計」
- エンドグリップ部分に重量を寄せた「低重心設計」
この2つの設計を採用することにより、従来の胴調子竿にありがちだった「持ち重り感」や「操作時のダルさ」を劇的に軽減。まるで軽量な先調子竿を扱っているかのような、シャープな振り抜け、ピタッと止まる穂先の収束性、そして意のままに仕掛けを操れる軽快な操作感を実現しているのです。
つまり、アテンダー3は単なる「胴調子竿」の延長線上にあるのではありません。
- 操作時には先調子竿の持つ軽快さや感度といったメリットを発揮
- 魚が掛かれば本来の胴調子としての性能が覚醒し、粘り強く浮かせるパワーを発揮
この「操作性」と「やり取り性能(粘り・パワー)」という、磯竿における二大性能の”良いとこ取り”を、かつてないレベルで実現したのがアテンダー3なのです。
この革新的な「先調子感覚の胴調子」こそが、アテンダー3を「買い」と断言できる性能の根幹であり、多くの釣り人を魅了する理由と言えるでしょう。 次のセクションでは、この特性が実際の釣りでどのように感じられたのか、具体的なインプレッションを紹介します。
実釣で証明!アテンダー3の真価を体感した忖度なしインプレッション

アテンダー3を実際に磯で使ってみましたので、感じたことを忖度ナシで徹底レビューしていきます。

今回は1.5号の5mを使用しました。
驚くほど軽快!「まるで先調子」と錯覚するほどの操作性

「本当に胴調子か?」と思わず口にしてしまうほど、アテンダー3の操作性は驚くほど軽快です。前作アテンダー2で感じた操作時の若干のダルさや持ち重り感は、比較にならないほど大幅に改善されています。
この劇的な変化は、主に以下の要素によるものだと感じました。
- 穂先を短く設計した「先短設計」(マスターモデル尾長M-5.0m比較6cm短縮)
- グリップ部分に重量を持たせた「低重心設計」
- #2部分に適度な「張り」があること
これらの相乗効果により、シャープな振り抜けで狙ったポイントへ正確に仕掛けを投入しやすく、投入後も軽快なライン操作が可能になり、魚にサシエを正確に送り込むことができます。
これまで胴調子の操作性に不満があった釣り人にも、自信を持っておすすめできるレベルに仕上がっています。
軽快な操作の実現には「低重心設計」が大きく関与しています。
- アテンダー3 1.5-50:自重253g
- マスターモデル尾長M-50:自重253g
カタログ上の自重はアテンダー3 1.5-50とマスターモデル2尾長M-50と全く同じですが、元竿重量はアテンダー3が約4g重い(※下記画像参照)という結果。これは意図的に手元(グリップ周り)に重量を配分した結果であり、実際に両者を持ち比べると、アテンダー3の方が圧倒的に軽く感じ、取り回しも格段に良いのです。


スペック上の自重だけを見て「重いのでは?」と感じている方も、ぜひ一度店頭で竿を伸ばして持ってみてください。その持ち重りのなさに、きっと驚くはずです。

アテンダー3は、従来の胴調子竿が抱えていた「操作時のもたつき」や「持ち重り」といったネガティブなイメージを完全に払拭したといえます。
魚を掛けると豹変!しっかり曲がり込み大物を浮かせる胴調子の真価

非常に軽快に操作できるアテンダー3ですが、魚を掛けると竿の性格は一変。「ちゃんと曲がるのか?」という心配は杞憂に終わり、胴調子としての真価を存分に発揮します。
魚の引きに応じて竿は驚くほどスムーズに、そして深く胴までしっかりと曲がり込み、力強いリフトパワーで魚をグイグイと浮かせてきます。前作アテンダー2以上のスムーズな曲がりとパワーアップには、新技術「ウルトラASD」と「TMS(タフマトリクスシステム)」が大きく貢献しています。
- ウルトラASD(アクティブサスデザイン)
- 振出竿のスムーズな曲がりのネックになる継ぎ目の段差(クリアランス)を極限まで削減。その上、継ぎ目の材料に衝撃吸収性の高い特殊素材を使うことで、硬さを出すことなくスムーズに曲がりこみ、ワンピースロッドのような応力伝達を可能にする。継ぎ目の硬さの違いで竿の曲がりが止まることがなく、魚の不意なつっこみも竿全体で受け止め魚を浮かせます。
- TMS(タフマトリクスシステム)
- 史上最高クラスの強度を誇るTORAYCA(R)T1100Gカーボンを縦と横方向に展開したカーボンシートが「TMS」。曲げやつぶれに対する強度を飛躍的に向上させることに成功し、素管重量の軽減・限界領域での耐久性の向上を実現。
実釣での感覚としては、前作アテンダー2よりも若干張りを感じさせつつも、魚を浮かせるパワーは確実にアップしています。アテンダー2の1.5号が適していた状況なら、アテンダー3では1.25号でも十分対応できるかもしれません。
特に印象的なのが、竿が曲がった状態からの「復元力(戻り方)」です。これは「ウルトラASD」の効果が大きいと感じますが、マスターモデル2にも通じる特性で、竿が元に戻る際に魚へ与える負荷を巧みにコントロールし、魚を不要に暴れさせずに、ジワリと、しかし確実に浮かせてくる感覚があります。
アテンダー3は竿が曲がり込んだ時に反発力を一気に解放せず、魚の引きに合わせて解放することにより魚にかかるテンションが抜けることがありません。そのため魚は常に引っ張られていて全力で走ることができない状態。これはパワーのある大型魚とのやり取りにおいて、非常に大きなアドバンテージとなります。
やり取り中のフィーリングは、マスターモデル2の”極胴調子”を少しシャープにした印象。魚を浮かせるスピードも、マスターモデル2尾長M-5.0mと比較すると、アテンダー3の1.5-5.0mの方が若干速く感じられました。
マスターモデル2のような特化した調子とは異なり、幅広い釣り人が扱いやすく、かつ高い次元で魚とのやり取りを楽しめる万能型の胴調子竿。それがアテンダー3という磯竿なのです。
所有感を満たす洗練されたデザイン:鮮やかなブルーとシルバーの輝き

磯で見ると特に印象的なのがアテンダー3のデザイン。性能だけでなく、見た目の美しさも釣り人とって重要な要素です。
アテンダー3のデザインは、鮮やかなライトブルーと、クールな輝きを放つシルバーが基調となっています。最近のがま磯シリーズの中では比較的落ち着いた印象も受けますが、太陽光の下ではライトブルーの発色が際立ち、非常に美しいです。玉口やリールシート周りの金属パーツはシルバーで統一されており、全体として洗練されたクールな雰囲気を醸し出しています。
性能追求だけでなく、「見て、持って、気分が上がる」デザインに力を入れている点は、釣りという趣味の道具として非常に好印象。これまでの「がま磯」のイメージとは一線を画す、新しいデザインを感じさせます。
ぜひ、実際に磯場で太陽の光を浴びたアテンダー3の姿を見て、その美しさを感じてほしいと思います。

性能だけでなく、所有する喜びも満たしてくれる竿がアテンダー3です。
所有感を満たすディテール。アテンダー3各部デザインと機能解説

アテンダー3を構成する各パーツを、細部にわたり見ていきましょう。伝統を受け継ぎつつも、随所に散りばめられた革新的なデザインと機能性が、釣り人の所有感を満たしてくれます。特にリールシートとエンドグリップ周りは、前作から大きく進化した注目ポイントです。
元竿~穂先:伝統と革新が彩る、鮮やかなブルーの機能美

まず目を引くのが、元竿の鮮やかなライトブルーのデザイン。見る角度によって色味が変わるデザインは非常に華やかで、釣行時の気分を高めてくれます。

号数表示は割と小さく控えめな表記。

元竿下部の「ATTENDER-Ⅲ」ロゴは立体的な仕様で力強い存在感を放っています。

その裏側には魚が泳ぐ姿のグラフィックが描かれてるなど、遊び心も感じさせるデザインです。

玉口部分には「ATTENDER THIRD GENERATION」の文字と、”3”を表す3本線が刻まれ、シリーズの正統進化を主張。

元竿上部の赤色は通常のがまかつ伝統の朱色ではなく、メタリックレッドで先進的な印象を与えてくれます。

#2〜#4の各節にはラインのべたつきを軽減する凹凸処理(ノンスティック加工)が施され、アテンダー3ではこの部分もブルーで統一感を演出。

穂先部分には、従来通りマットな艶消し塗装が施され、実釣時のライントラブル軽減に貢献します。



デザインで1点気になるのが#4の仕上げ。#3や#2がカーボン地が見える仕様(PCS:パワークロスシステム採用によるものと思われる)なのに対し、#4だけは表面が黒の塗装で覆われています。
これがPCSの有無による違いなのか、あるいは別の理由があるのか現時点では不明ですが、他の節と質感が異なる点には少し違和感を覚えました。
リールシート:どんな人も握りやすく、デザインにもこだわった専用設計
リールシートは、アテンダー3のために新設計されたものが採用。細部にまでこだわりが感じられ、機能性とデザイン性が見事に融合しています。今作アテンダー3は全機種スクリューシート仕様となっています。

フード部分は、一見するとシンプルな黒ですが、光が当たると細かなブルーのラメが煌めく凝った仕様。写真では伝わらないですが、太陽光の下で確認すると、ブルーのラメが光る様子がよくわかります。

握る部分は、グレ競技スペシャル4の形状をベースにしていると思われ、やや細身で手の小さい方でもしっかりとホールドできそうな印象です。私自身、細めのグリップが好みなので、非常に手にしっくりと馴染みました。

リールシートで最もデザイン的なこだわりを感じるのがスクリュー部分です。アテンダー3のイメージカラーである鮮やかなライトブルーで彩られ、従来のがま磯にはないオリジナリティ溢れる形状を採用。
締め込んだ際に見える差し色のレッドや、「ATTENDERⅢ」の精密なマーキングなど、細部に至るまで妥協のない作り込みが、所有感を高めてくれます。
エンドグリップ:新採用の立体形状、握りやすさと高いグリップ力を発揮
エンドグリップも、アテンダー3のために完全新設計されたオリジナル形状。最大の特徴は、がま磯初となる立体的なデザインを採用した点です。



従来のエンドグリップがほぼ円筒形だったのに対し、アテンダー3では肘が当たる部分がフラットになっているため、ファイト中にグリップがズレにくく、非常に安定したやり取りが可能になりました。


片手で竿を操作する際に、肘でグリップをしっかりと固定しやすくなったのは大きなメリットです。従来のアテンダー(円筒形)では肘当てが”点”で接触する感覚がありましたが、アテンダー3では”面”で支えられるようになり、格段に安定感が増しました。
もちろん、通常のグリップ感も良好です。手に吸い付くようなラバー素材は濡れた手でも滑りにくく、確かなホールド感を提供してくれます。
エンドグリップの材質は前作アテンダー2とは違うものに変更。前作アテンダー2の0号〜1.5号のエンドグリップは経年劣化によるラバーのベタつきが発生していましたが、アテンダー3の素材を見る限り、その心配は少なそうな印象を受けました。
ニット製竿袋:アテンダー3をイメージした青いラメ入り仕様


アテンダー3のニット竿袋はブラック系の生地に鮮やかなブルーのラメが織り込まれており、「ATTENDER-Ⅲ」のロゴのみが入ったシンプルな仕上がりです。写真ではラメ感が伝わりにくいですが、実物はキラキラと輝き、竿本体との一体感を演出しています。

機能面での注目点は、従来のニット竿袋よりも幅が広く作られている点です。マスターモデル2の竿袋と比較すると、その差は歴然です。
竿だけを収納する際には若干ダブつくように感じるかもしれませんが、リールを装着し、仕掛けを通した状態で収納・持ち運びする際には、この幅広さが非常に便利。実釣時の使い勝手を考慮した、実践的な配慮と言えるでしょう。
まとめ:異次元の操作性と絶対的な安心感。アテンダー3は磯釣りの理想を追求する釣り人に最適な竿

がま磯「アテンダー3」は、「操作時にはあたかも先調子、掛けてからはマスターモデル2に匹敵するほどの胴調子」という、まさに理想的な性能バランスを驚くべき高次元で実現しています。
軽快極まる操作性と、粘り強く魚を浮かせる絶対的な安心感。 この双方を一切妥協することなく求める釣り人にとって、アテンダー3は現時点で最高の選択肢の一つとなるでしょう。マスターモデル2のような極端な胴への曲がり込みや、それに伴う特有のクセも少ないため、より幅広い釣り人がその圧倒的なポテンシャルを素直に引き出しやすい点も、大きな魅力です。
初代、二代目ともに卓越したやり取り性能で一世を風靡したアテンダーシリーズ。三代目となるアテンダー3は、その伝統の「粘り(やり取り性能)」を深化させつつ、長年の課題であった「操作性」を劇的に向上させました。この明確な進化があるからこそ、歴代モデル同様、多くの釣り人から熱烈な支持を集めるのは必然と言えます。
その人気の高さを裏付けるように、2025年4月現在でも、人気の号数・長さによっては品薄状態が続き、入手が困難な状況も見受けられます。半年以上の入荷待ちとなるケースもあるようです。この「入手難易度の高さ」が、現時点でのアテンダー3の唯一にして最大の”悩ましい点”と言えるかもしれません。

もし釣具店などでアテンダー3の希望するモデルの在庫があったのなら、迷わず手に入れることを強くおすすめします。
ぜひ磯へ足を運び、アテンダー3の異次元の操作性と、安心して大物と渡り合える頼もしさを存分に味わってみてください。きっと、あなたの磯釣りを新たな次元へと引き上げ、これまで以上の感動をもたらしてくれるはずです。
他にも、がま磯ロッドのレビュー記事や比較記事を書いていますので気になる方はチェックしてみてください!
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