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- イカリ鈎は掛かりが早いけれど、バレやすい…
- ヤナギやチラシはバラシにくいけれど、掛かりが遅い…
- 早掛けとバラシにくさを両立した、理想の掛け鈎はないのか?
鮎の友釣においてチャンスが少ない状況ほど「絶対バラしたくない」と思うもの。しかし、掛かりの早さとキープ力のどちらを取るかで頭を悩ませている鮎釣り師の方は多いのではないでしょうか。
私は鮎釣りを始めて20年以上、3本イカリ、4本イカリ、ヤナギ、チラシ、そして「チラリ」まで、数々の掛け鈎を自作しては実釣で試してきました。
そこで今回は、かつて「がまかつ」から発売されていた幻の3本イカリ「チラリ」のメリット・デメリットと自作方法を詳しく解説します。
実際に作成し使い倒したからこそ分かる、「チラリ」のマニアックな性能。1匹を確実に獲りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
チラリとは?チラシとイカリを融合した「段違い3本イカリ」

チラリとは、「チラシ鈎」と「イカリ鈎」の強みを融合させた、まさに“いいとこ取り”の掛け鈎です。
なぜなら、チラシ鈎が持つ「抜群のキープ力(バラシにくさ)」と、イカリ鈎が持つ「掛かりの早さ」を同時に併せ持っているからです。
具体的には、鈎を密にしつつ段違いに配置することで、イカリ鈎と同等の早掛け性能を実現。さらに、掛かった後は隣接する鈎が干渉しない構造のため、チラシ鈎のように鈎が深く食い込み、しっかりと鮎をキープしてくれます。
「早く掛かり、一度掛かったら逃がさない」
チラリは、野鮎を絶対に獲りたい場面で真価を発揮する、まさに理想の掛け鈎なのです。

がまかつからチラリが発売されたのは1998年で、2007年に改良されてから2011年まで発売されていました。
1998年はワンサイズのみの展開(上図左)で1999〜2006年までが4サイズ展開(上図中央)。2007年にチラリスペシャルとなり2011年を最後にラインナップから姿を消しています。
チラリスペシャルからチタン針金が内蔵されて、鈎の角度修正が容易になりました。
チラリ考案者は磯釣の鬼才・松田稔
チラシとイカリの融合鈎であるチラリを考案したのは、磯釣の鬼才・松田稔氏です。
2026年現在も、松田氏ご本人が「チラリ」について自ら解説している動画を見ることができます。
・番組タイトル:『釣神伝説〜徳島県那珂川上流の鮎〜』
・視聴方法: 釣りビジョンVOD(月額・年額制の有料動画配信サービス)
無料動画ではありませんが、鬼才ならではの鈎に対するこだわりを確認したい方はぜひチェックしてみてください。
【チラリのメリット】広い守備範囲・早掛け性能・強力なキープ力を併せ持つ

チラリは独特の構造により、「広い守備範囲」「早掛け性能」「強力なキープ力」の3つを高いレベルで持ち合わせています。
チラリは段違いの3本構造を採用することで、通常の3本イカリでは持ち合わせることが困難な3つの性能を兼ね備えています。野鮎を掛けるチャンスが少なく、絶対にバラしたくない厳しい状況下で、これ以上なく頼りになる掛け鈎です。
ここからは、なぜチラリがこれほど高い総合性能を発揮できるのか、3つのポイントに分けて詳しく解説していきます。
広い守備範囲:前後上下に広い守備範囲が野鮎を絡め取る


チラリ独特の構造が生み出す広い守備範囲は、通常のイカリ鈎では掛けられない野鮎を確実に捉えます。
なぜなら、「段違い配置の3本鈎」と「針金による角度調整」という2つ構造によって、野鮎を捉える範囲を前後上下に広げられるからです。
- 前後の広さ(段違い配置): 鈎を前後にずらして配置することで、通常のイカリ鈎よりも前後の守備範囲が広い。
- 上下左右の広さ(角度調整): 内蔵された針金で鈎の角度を変えることで、上下左右の守備範囲が向上。
この「前後+上下左右」の広い守備範囲があるからこそ、追いが悪くニアミスする野鮎もしっかりと絡め取ることができます。チャンスが少ないシチュエーションで確実に1匹を獲るために、非常に頼もしい武器となります。
早掛け性能:3本イカリと同等の掛け性能を実現

チラリは、従来の3本イカリと比較してもまったく遜色のない、抜群の「早掛け性能」を誇ります。
その理由は、3本の鈎が密に配置されており、構造的には3本イカリとほぼ変わらない掛け性能を持っているからです。
チラリは通常の3本イカリ同様、120度均等な角度で鈎を配置しています。ここまでは一般的なイカリ鈎と同じですが、チラリはさらに「段違い配置」かつ「針金による角度調整」が可能です。あらゆる角度からの野鮎のアタックを捕らえることができるため、見方によっては通常の3本イカリ以上の早掛け性能を発揮すると言っても過言ではありません。
「さまざまな角度からアタックしてくる鮎を掛ける」という3本イカリの強みをしっかり継承しつつ、それ以上のポテンシャルを秘めた鈎、それが「チラリ」という掛け鈎です。
強力なキープ力:バラシを防ぎ確実にタモへ鮎を収める

チラリは、チラシ鈎やヤナギ鈎と同等の強力なキープ力を持ち、掛けた鮎を高確率でタモへと収めることができます。
その最大の理由は、野鮎に掛かった1本の鈎に対して、他の鈎が一切干渉しないからです。
通常のイカリ鈎は以下のような働きでバレがどうしても多くなる傾向があります。
- 掛かった鈎以外の鈎が鮎の身に当たって深く刺さるのを邪魔してしまう。
- 掛かった鈎以外の鈎が、やり取りの最中に「てこ」の役割をするため、掛かった鈎が外れやすい。
しかしチラリは、段違いに配置された3本の鈎がそれぞれ独立してハリスに巻き付けられています。そのため、取り込み中に他の鈎が邪魔をすることなく、掛かった1本がスムーズに深く食い込み、バラシを劇的に防いでくれるのです。
掛かれば1本鈎のように深く食い込む――チラリの圧倒的なキープ力があれば、取り込み時のヒヤヒヤ感から解放され、安心して取り込みに集中できます。
【チラリのデメリット】作成の手間と手返しの遅さ

守備範囲が広く、掛けたら逃がさない最強の性能を持つチラリですが、良いことばかりではありません。
絶大なメリットがありながら、なぜ使う人がほとんどいないのか? それは以下の3つの大きなデメリットが存在するからです。
- 「高い自作のハードル」慣れても作成に膨大な時間がかかる
- 「鈎の角度修正が必要」手返しが悪く扱いづらい
- 「鈎の寿命が短い」角度修正できなくなったら要交換
ここからはその大きな3つのデメリットについて、詳しく解説します。
【デメリット1】「高い自作のハードル」慣れても作成に膨大な時間がかかる

チラリは、通常の3本イカリと比べて作るのに3倍以上の時間がかかります。
その理由は単純で、3本の鈎をそれぞれ1本ずつハリスに巻き付ける必要があり、さらに角度調整用の「チタン針金」も巻かなければならないからです。
実際の私の作成時間を比較してみても、その差は歴然としています。
- 通常の3本イカリ: 約5分 / 1本
- チラリ: 約17分 / 1本
どちらもタックルインジャパンの「イカリマイター」を使って作成し、チラリは「専用の治具」を使用した場合の作成時間です。
鈎巻きに慣れている人間が専用のツールを活用したとしても、チラリを1本作成するのにこれだけの時間がかかってしまいます。通常のイカリ鈎のように「隙間時間で一気に量産する」ということが難しいため、性能は魅力的でも自作するハードルは非常に高い掛け鈎です。
【デメリット2】「鈎の角度修正が必要」手返しが悪く扱いづらい

チラリ本来の性能をフルに発揮させるためには、こまめな「鈎の角度修正」が不可欠となり、どうしても手返しが悪くなってしまいます。
なぜなら、鮎が1匹掛かったり、根掛かりをしたりするたびに、3本の鈎の角度がズレてしまう構造だからです。
- ズレてしまう理由:通常のイカリ鈎のように3本の軸がまとめて固定されておらず、1本ずつ独立してハリスに巻かれ、チタン針金で角度を保持しているため。
- 角度修正が必要な理由:角度がズレたままではチラリ特有の「広い守備範囲」や「早掛け性能」を発揮できません。そのため、鈎の角度がズレていれば適正な位置に修正し直す必要があります。
入れ掛かりの場面や、スピードと手返しの早さを優先したい競技会において、この角度修正作業は大きなタイムロスとなるため、チラリは「手返し勝負」には向かない掛け鈎と言えます。

競技会で使うなら「絶対バラしたくない最初の1匹」を取る時に使うのが良いでしょう。
【デメリット3】「鈎の寿命が短い」角度修正できなくなったら要交換

チラリは、通常のイカリ鈎と比べて寿命が非常に短く、長持ちさせることが難しい掛け鈎です。
その理由は、単に「鈎先が鈍ったとき」だけでなく、「角度修正ができなくなった時点」でも、掛け鈎の性能が保てず交換が必要になるからです。
チラリの寿命が短いメカニズム
チラリの角度調整を担う「チタン針金」は非常に細いため、鮎との激しいやり取りや角度修正を繰り返すことで簡単に折れてしまいます。針金が折れると角度を保てなくなるため、最悪の場合はわずか1匹掛けただけで交換を余儀なくされることもあります。
たとえ鈎先が鋭い状態だとしても、角度修正ができなくなればチラリ本来の性能は発揮できません。「鈎先が無事でも交換しなければならない」という点は、チラリの大きな弱点と言えます。
【最適な場面】絶対にバラしたくない「終盤の大鮎釣り」で真価を発揮!

チラリがその真価を最も発揮するシチュエーション、それは「終盤の大鮎釣り」です。
「掛かりの速さ」と「高いキープ力」を両立するチラリは、チャンスが少なく、やり取りの難易度が高い大鮎を獲るための理想的な性能を備えているからです。
大鮎釣りにおいて、チラリが圧倒的に有利な理由は以下の通りです。
- デメリットが薄れる: 「数」ではなく「大きさ」を求める釣りだからこそ、「手返しの悪さ」が問題にならない。
- 強気のやり取りで取り込み率アップ: 掛かった1本の鈎が深く食い込み他鈎が干渉しないため、キープ力が高く、身切れを恐れず強気なやり取りが可能となる。結果、大鮎の取り込み率が向上する。
メリットとデメリットを総合的に考えたとき、「絶対にバラしたくない大鮎」を狙う場面において、チラリの性能は最大の武器になります。

「この鈎ならバレない!」という安心感で、強気のやり取りを可能にしてくれるのが「チラリ」です。
【チラリの作り方】作成手順と必要な治具を徹底解説!

圧倒的なキープ力を誇る「チラリ」ですが、2026年現在は廃盤となっており、実釣で使うには自作するしかありません。
このセクションでは、以下の2点を詳しく解説していきます。
- 失敗なく作成するための「作成手順」
- 楽に作成するための「治具」の作り方

チラリはフリーハンドでの作成難易度が非常に高く、自作には「治具」が必須です。
【チラリ作成手順】やることは単純だが工程が多い

チラリ作成は「根巻き糸で巻く」という単純な作業ですが、通常のイカリ鈎と比べて工程数が圧倒的に多くなります。
なぜなら、3本の鈎をそれぞれ独立して巻き、さらに角度調整用の「チタン針金」を鈎の軸に巻きつけていく必要があるからです。
チラリ作成の工程を簡単に説明すると以下のようになります。
- 1番下になる鈎をハリスに巻く
- 鈎と鈎の角度が約120度になるように調整して真ん中の鈎を巻く
- 1番上の鈎を真ん中の鈎と角度が120度になるようにを巻く
- チタン針金を3本の鈎の軸部分に添えて根巻糸で巻いていく
- 根巻糸を巻いた部分に瞬間接着剤を塗布し、鈎の角度を調整する
では、ここからそれぞれの工程と注意点を詳しく解説していきますので、チラリ自作に挑戦してみたい方は、ぜひ参考にしてみてください。なお、私は作成にあたりタックルインジャパンの「イカリマイター」に角度調整用の治具を付けたものを使用しています。
①1番下になる鈎をハリスに巻く


まずは1番下にくる鈎を巻いていきます。この鈎は角度を気にすることなく単純にハリスに巻いていくだけの簡単な作業です。
私は根巻き糸を40回程度巻いてからハーフヒッチを3回行い根巻き糸をカットしています。
使うハリスの長さは15cmで、通常のイカリ鈎を作る時のものと変わりません。
②鈎と鈎の角度が約120度になるように調整して真ん中の鈎を巻く


1番下に巻いた鈎角度を基準として真ん中の鈎を巻いていきます。
この時に治具を使い、鈎と鈎の角度を約120度にしてから巻くということが、通常のイカリ鈎を巻く時と大きく異なるところであり、非常に面倒な点です。鈎と鈎の角度を約120度にするのは治具がなければほぼ不可能だと思います。

通常のイカリ鈎のように巻いた後で鈎の角度調整をすることが困難なので、巻く時に角度を決めてしまいます。

また、鈎と鈎との間隔はできるだけ密着するように巻くのがポイントです。3本の鈎が一つの塊になるようにするのは鈎のパンチ力を向上させ、ケラれることを防ぐためです。
③1番上の鈎を②と同じく角度が約120度になるように巻く

最後に巻く1番上の鈎は、②で巻いた真ん中の鈎を治具に添えた状態で巻いていきます。そうすることで3本の鈎の角度がそれぞれ約120度となり、野鮎があらゆる方向からアタックしてきても鈎と接触しやすくなります。

チラリは最終的な鈎の角度はチタン針金で調整するので、角度が多少ズレていても大丈夫です。
④「チタン針金」を3本の鈎の軸部分に添えて根巻糸で巻いていく

鈎の角度を調整できるように「チタン針金」を3本の鈎の軸に根巻き糸で巻いていきます。
巻いていく方向は上の鈎から下の鈎に向かって巻いていくのがおすすめです。なぜなら、上の鈎から巻いていくと根巻き糸を切ることなく3本の鈎の軸に根巻き糸を巻きつけることが可能となり、作業時間が短縮できるからです。
具体的には以下のような手順となります。
- 1番上の鈎の軸にチタン針金を根巻き糸で巻き、最後にハーフヒッチで固定
- そのまま根巻き糸をカットせずに真ん中の鈎の軸にチタン針金を根巻き糸で巻きつけ、ハーフヒッチで固定
- 同じく1番下の鈎の軸にチタン針金を根巻き糸で巻きつけ、ハーフヒッチで固定し根巻き糸をカットして完成


⑤根巻糸を巻いた部分に瞬間接着剤を塗布し、鈎の角度を調整する

チタン針金を巻き終わったら、根巻き糸を巻いた部分には瞬間接着剤を塗布して根巻き糸がほどけないようにします。


瞬間接着剤が乾いたら、真ん中の鈎と1番下の鈎の角度を調整し、鈎同士の角度が約120度となるようにします。同時に鈎先がハリス方向を向くように起こし気味に調整すればチラリの完成です。
参考までに私がチラリ作成に使用しているアイテム一覧を紹介しておきます。
- タックルインジャパン イカリマイター
- タックルインジャパン セラミックスーパーボビンホルダー
- がまかつ ナイロン根巻糸(中)
- チタンハリガネ 極細0.1㎜ 自由自在に曲げれるハリガネ (5m)
- アロンアルファ 釣名人 低粘度・多用途 2g
- チラリ作成用治具(自作)
【チラリ専用治具】鈎と鈎の角度を120度にするための治具の作成方法

チラリを作成するにあたって最大の難関は「鈎と鈎の角度を約120度にして鈎を巻いていく点」です。
ここではこの難関を解決するための治具の作成方法を解説していきます。

ここで解説する治具の作成方法はタックルインジャパンの「イカリマイター」を使うことを前提としていますのでご注意ください。

治具はマグネットシートで作った正三角柱のような形状のものになります。


私はマグネットシートを2cm×1cmに切ったものを3枚用意し、内側からテープで貼り合わせます。(今回は2cm×2cmカットのマグネットシートだったため、1枚は切れ込みを入れて折れるように調整)。
この作業で正確な三角形を作る必要はありません。おおまかに三角形になっていれば治具としての役割は十分果たしてくれます。

完成した治具はイカリマイターに両面テープで貼り付けます。貼り付ける位置は上の画像を参照してください。
治具の素材はマグネットシートでなくてもOK
私は治具を作るのに「鈎がくっつく方が良いだろう」と思い、マグネットシートを使いましたが、プラ板などで治具を作っても問題ありません。その場合は治具に鈎を固定する際にテープを使うなどして固定する必要がありますが、マグネットシートよりも確実に治具に鈎を固定できるという利点もあります。

【まとめ】「チラリ」は手間をかけても自作して使う価値がある!

「チラリ」は多大な作成時間と手間がかかる掛け鈎ですが、私はそれでも自作して使う価値が十分にあると確信しています。
なぜなら、手間に見合うだけの「圧倒的なキープ力」と「少ないチャンスで鮎を掛ける守備範囲」があり、「なんとしてでも取り込みたい1匹」が掛かったときに、自信を持って強気のやり取りができるからです。
特に大鮎とのやり取りは、竿をしっかりと絞り込み、釣り人が主導権を握り続けることが何より重要です。「バラしたくない」という思いから弱気になって竿を絞り込めないと、大鮎に主導権が渡り一気に走られてバラす確立が高くなってしまいます。
しかし、チラリの「1本の鈎が深く入る高いキープ力」は「この鈎なら絶対にバレない!」という自信を与えてくれるので、強気で勝負することを可能にし、強烈な引きをねじ伏せ、確実にタモへと収めることができるのです。
強気のやり取りを可能にし、価値ある1匹を獲るための最高の掛け鈎となってくれる「チラリ」。
確かに作成のハードルは高いですが、ぜひ皆さんも自作にチャレンジし、実釣でその威力を体感してみてください!
