- イカリ鈎は掛かりは早いけど多少バレやすい・・・
- ヤナギやチラシはバレにくいけど掛かりが遅い・・・
- 掛かりが早くてバレにくい鈎は無いのか?
掛かりの早さを重視するとイカリ鈎になりますが、チャンスの少ない状況ではバレの少ない鈎を使いたいところ。しかし、バレにくいヤナギやチラシは掛かるのが遅いので使いにくいと思っている人は多いんじゃないでしょうか?
私は鮎釣りを始めてから3本イカリ、4本イカリ、ヤナギ、チラシ、チラリと色々な掛け鈎を20数年の間に使ってきて、自作もしながら、それぞれの鈎の性能を体験してきました。
この記事では、過去にがまかつから発売されていた3本イカリ「チラリ」のメリットデメリットと作成方法を解説していきます。
この記事を読めばチラリがなぜ掛かりが早く、バレにくいのかが分かります。そして、高性能なチラリがラインナップから消えてしまった理由も分かります。
絶対バラしたくない1匹を獲るために「チラリ」を作成してみたい人は最後まで読んでみて下さい。
チラリとはチラシとイカリの両方のメリットを持った段違い3本イカリ
チラリは
- チラシのキープ力の高さ
- イカリ鈎の掛かりの早さ
を両立した掛け鈎。
チラシのメリットとイカリのメリットを併せ持つ掛け鈎ということで「チラリ」という名が付いているようです。
チラシのように1つ1つの鈎を離して巻くのではなく、3本イカリのような角度になるように3本の鈎を段違いに巻いている特殊な掛け鈎になります。
早く掛けることができて、バラシのリスクも低い、非常にバランスに優れた掛け鈎が「チラリ」という段違い3本イカリ
チラリのメリット
守備範囲が広く、掛かりが早い
通常の3本イカリと比べて守備範囲が広く、掛かりが早い理由は
- 鈎が段違いなので通常の3本イカリと違い、前後の守備範囲が広い
- 3本イカリのように3方向に鈎が向いているので上下の守備範囲がある
- チラシのように1つ1つの鈎が離れてないので重さがあってケラレにくい
の3点です。
チラシのように鈎が離れていないので前後の守備範囲はチラシには負けますが、通常の3本イカリに比べれば前後の守備範囲が広いので、あまりヤル気のない鮎がフラフラと様子を見に近づいてきた時にも掛けることができます。
イカリ鈎のように3本の鈎がまとまっていて重さがあるので、ケラレにくのも良い点。チラシは1本ずつ離れているので重さが足りずにケラレてしまうことがよくあるんですよね。
掛かった鈎に他の鈎が干渉しないのでバレが少ない
バレが少ない理由は3本の鈎が段違いになっているので、鮎に掛かった鈎に他の鈎が干渉しないこと。
掛かったあとはチラシと同様の高いキープ力を発揮してくれます。
ハリスに1本ずつ巻かれているので鮎に掛かった鈎が深く食い込んでいきます。イカリ鈎だと掛かった鈎以外の鈎が深く食い込むのを邪魔したり、やり取り中に「てこ」の役割を果たしてしまったりしてバレやすくなってしまうのです。
イカリ鈎に近い形をしていながら、チラシと同様のキープ力を持っているので掛けた後に強気でやり取りができるよ!
チラリのデメリット
作るのに非常に時間がかかる
通常の3本イカリを作る時と比べて3倍以上時間がかかります。
作成時間を計ってみたら以下のような結果になりました。
- 3本イカリ・・・約5分
- チラリ・・・約17分
どちらもタックルインジャパンの「イカリマイター」を使って作った場合の時間になります。
鈎3本を1本ずつ巻かないといけないので、どうしても時間がかかってしまうのは仕方がないところ。
当然、出来合いものとして製品化しようとするとコストが掛かって価格が高くなり、売上が伸びずに廃盤になったのだろうと思っています。
鮎を掛けたあとは鈎の角度がぐしゃぐしゃになるので毎回角度修正が必要
オトリ鮎にセットした時は3本イカリと同じような角度になっていますが、各鈎は鮎が掛かると角度がぐしゃぐしゃになってしまうので、1匹掛けるたびに鈎の角度を修正する手間が発生します。
チラリは極細の針金が一緒に巻かれていて、それぞれの鈎の角度を調整することは簡単にできますが、どうしても手返しが遅くなってしまうのが難点。
入れ掛かりになるような良い状況ではチラリは手返しの悪さから使いづらい掛け鈎となってしまう
チラリは磯釣りの鬼才・松田稔氏が考案して、がまかつが製品化したイカリ鈎
チラリは磯釣りの鬼才・松田稔氏が考案した掛け鈎で、がまかつから出来合いものとして製品化されていました。
初代チラリはチタン製の針金が搭載されていなかったので角度調整がしにくい仕様でしたが、2代目チラリ(チラリスペシャル)はチタン製の針金を搭載して簡単に鈎の角度調整ができる仕様に改良されています。
2024年現在はラインナップにないので、チラリを手に入れるには自作をするしかない状況です。
非常に魅力のある掛け鈎なので復活して欲しいところですが、今作ると6組入りで1,500円ぐらいになりそうな感じがするので、復活することは難しそうです。
使うのに適した場面は大鮎狙いの時
理由は
- 大鮎は掛かるチャンスが少ないので掛かりの早さが欲しい
- 引きが強くバレやすいので高いキープ力のバレにくい鈎が良い
- 数が釣れることは少ないので、鈎の角度修正により手返しが遅くなっても問題ない
の3点です。
チラリは性能が高く、どんな場面でも使える鈎ですが、作るのに手間がかかり量産するのが困難なので、この1匹は何としてでも取りたいという状況が1番適しています。
状況が良く、たくさん釣れる時はチラリを使うと手返しが遅くなってしまうので、多少のバレはあるにしても4本イカリを使ったほうが釣果は良くなるでしょう。
大鮎狙いの時は何としてでも1匹取りたいという状況なので、チラリが1番効果を発揮してくれる掛け鈎となります。
チラリの作成方法
完全独学ですが私がチラリを作成する手順を紹介します。
- 1番下になる鈎をハリスに巻く
- 3本イカリと同じような角度(鈎と鈎の角度が120度)になるように調整しながら2番目の鈎を巻く
- 同じく鈎と鈎の角度が120度になるように1番上の鈎を巻く
- チタン針金を3本の鈎の軸部分に添えて根巻糸で巻いていく
- 根巻糸を巻いた部分に瞬間接着剤を塗布する
- 各鈎の角度を調整する
フリーハンドでの作成は難易度が高すぎるので、タックルインジャパンの「イカリマイター」に治具を付けて作成しています。治具の作り方も合わせて解説しますので興味のある方は読んでみて下さい。
事前準備
ハリスを用意し、先端をライターで焼いてすっぽ抜け防止のコブを作る(ハリスの長さは15cmで作ってます)
❶1番下になる鈎をハリスに巻く
イカリマイターに1番下にくる鈎をセットして根巻糸で巻いていきます。私の場合は40巻きぐらいしてハーフヒッチを3回してから根巻糸をカット。
❷2番目になる鈎をハリスに巻く
最初に巻いた❶の鈎を治具にセットして2番目の鈎を巻いていきます。❶と同じように巻けばOKです。
❸1番上にくる鈎をハリスに巻く
❷で巻いた鈎を治具にセットして1番上にくる鈎を巻いていきます。巻き方は❶と❷と同様
❹チタン針金を鈎の軸部分に添えて根巻糸で巻く
チタン針金の長さは【鈎の軸の長さ×3】ぐらいの長さがあればOKです。1番上の鈎の軸部分に添えて根巻糸で巻いていきます。
❺根巻糸で巻いた部分に瞬間接着剤を塗布する
鈎がすっぽ抜けないように根巻糸部分に瞬間接着剤を塗布して固着させます。
❻各鈎の角度調整をする
通常の3本イカリと同様に鈎と鈎の角度が120度になるように調整します。チタン針金を搭載したことによって角度調整は簡単にできるようになっています。
以上でチラリの完成となります。
上の図のチラリスペシャルの説明書のように使う時には2本目と3本目の鈎先をハリスの方に起こし気味にするのが良いそうです。
参考までに私が作成に使っているアイテムを紹介しておきます。
- タックルインジャパン イカリマイター
- タックルインジャパン セラミックスーパーボビンホルダー
- がまかつ ナイロン根巻糸(中)
- チタンハリガネ 極細0.1㎜ 自由自在に曲げれるハリガネ (5m)
- アロンアルファ 釣名人 低粘度・多用途 2g
- チラリ作成用治具(自作)
チラリ作成用の治具作成方法
鈎と鈎の角度を約120度にするための治具です。
私は100均で買ったマグネットシートを使用しています。
①マグネットシートを切ります。(2cm×1cmのものを3枚作成)
②マグネットシートを三角形にするようにテープで張り合わせます。
③イカリマイターに両面テープで固定します。
巻き終わった鈎を治具に張り付けて、一つ上の鈎を巻くようにすると約120度の角度が付くようになります。
チラリは作成の手間が凄くかかるが、作る価値のある掛け鈎
自分で作成してみると分かりますが非常に作るのに時間がかかるので、作っていて嫌になることもあります。
しかし、他の掛け鈎にはない「抜群のキープ力と掛かりの早さ」は非常に魅力的で、ここぞという時に頼りになる掛け鈎が「チラリ」です。
この記事を読んでみてチラリを使用してみたくなった人は、かなり手間はかかりますが是非自作をチャレンジしてみてはどうでしょうか?
苦労して作ったチラリは、きっと何としてでも取りたい1匹を獲るための手助けをしてくれるはずです。