2025年秋、がまかつから新たな磯竿、がま磯「グレスペシャルF」が登場しました。
- グレスペシャルFってどんな竿なの?
- 同じ先調子のグレ競技スペシャル4と、何が違うの?
- 一体、どんな釣り人に最適な一本なんだろう?
きっと、多くのグレ釣りファンがそんな疑問をお持ちのことでしょう。
この記事では、2025年秋の新作「グレスペシャルF」のカタログスペックや特集記事を徹底的に読み解いた上で実釣し、「グレスペシャルF」の核心に迫ります。
今回採用されている新コンセプトの先調子にどんなメリットがあり、どんな状況で真価を発揮し、どのような釣り人にマッチするのかを分かりやすく解説。合わせて同じ先調子であるグレ競技スペシャル4と比較し、どのような違いがあるかを徹底解説します。
あなたの次の愛竿選びで後悔しないための、最高の判断材料がここにあります。購入を真剣に検討している方はもちろん、がま磯の新たなジャンルのグレ竿が気になる方も、ぜひ最後まで読んでみてください。
がま磯グレスペシャルFは当初11月に発売予定でしたが、一部の号数と長さは製造の遅れにより12下旬に発売されるとの事です。納期が遅れる号数と長さは以下のものとなります。
- がま磯 グレスペシャルF 0.75号-5.3m
- がま磯 グレスペシャルF 1号-5.0m
- がま磯 グレスペシャルF 1号-5.3m
- がま磯 グレスペシャルF 1.5号-5.0m
2025年11月現在購入可能なのは1.25号の5.0m、1.25号の5.3m、1.5号の5.3mの3種類のみとなっています。
グレスペシャルFとは「柔」を宿した次世代の先調子
グレスペシャルFは、一言でいえば『先調子の操作性と、胴調子の柔軟性を融合させた一本』。グレスペシャルFのコンセプトは、これまでの常識を覆す『軽くて、柔らかいのに、先調子』という、革新的なものです。
「先調子なのに柔らかい?それって矛盾してない?」
きっと、多くの磯釣りファンがそう思われたことでしょう。何を隠そう、私自身がそうでした。これまで「先調子」といえば、優れた操作性を生み出すための「軽さと張り」が絶対条件であり、「柔らかい(=曲がる)」のは胴調子だと考えていたからです。
しかし、スペックを読み解き、実際に使ってみると、その考えは確信へと変わりました。
「グレスペシャルF」は、先調子の長所である高次元の操作性はそのままに、弱点とされてきた『竿の硬さ(張り)』に起因するバラシやハリス切れを、”胴のしなやかさ”で見事に克服しているのだと。
例えるなら、「操作時はシャープな剣、魚が掛かればしなやかな鞭」。 意のままに仕掛けを操るための張りは残しつつ、魚の引きには柔軟に追従して曲がる。この絶妙なバランスこそが、「グレスペシャルF」の真骨頂なのです。
グレスペシャルFは、次のような想いを抱える釣り人に、最高の答えを提示してくれます。
- 「先調子の操作性は好きだけど、胴の硬さからくるバラシが怖い…」
- 「食い渋り対策で細ハリスを使いたいけど、胴の硬い先調子だと不安…」
これまで「細ハリス=胴調子」がセオリーでした。しかしこれからは、「グレスペシャルF」という新たな選択肢が加わります。あなたが持つ技術を、竿が新たな次元へと引き上げてくれる。そんな可能性に満ちた一本です。
【実釣比較】グレ競技スペシャル4と使い比べて見えた『決定的違い』

「グレスペシャルF」と「グレ競技スペシャル4」。同じ“先調子”に属する2本を実際にフィールドで使い比べてみると、明確な個性の違いが浮かび上がってきました。
| グレスペシャルF | グレ競技SP4 | |
|---|---|---|
| 仕掛け投入 | 非常に良い | 良い |
| 仕掛け操作 | 非常に良い | 良い |
| 持ち重り | 非常に軽い | 軽い |
| 胴部分の硬さ | 柔らかい | 硬い |
| 魚とのやり取り | 胴でいなす | 胴で止める |
上の表が、私が感じた性能比較です。非常に軽く操作性が良いと感じていたグレ競技スペシャル4を凌駕する持ち重りの軽さと操作性の良さをグレスペシャルFは持ち合わせています。先調子の特徴と言える性能は確実に進化していると感じました。
魚を掛けるまではどちらの竿も先調子の特徴を感じられるのに対し、魚を掛けた後のやり取りでは全く正反対の性格を見せます。
ここからは、グレスペシャルFとグレ競技スペシャル4の「最大の違い」をさらに深掘りしていきます。
【柔と剛で全く別物】最大の違いは「やり取り性能」

比較した2本の竿の最も異なる点は、魚を掛けた後の「やり取り性能」。
「グレスペシャルF」は、しなやかな胴で魚の引きを華麗に受け流し、いなしながら浮かせる”新時代の先調子”だとすれば、「グレ競技スペシャル4」が、強靭な胴で魚の引きを真っ向から受け止め、パワーでねじ伏せる”王道の先調子”。両者の魚の浮かせ方を比較すると、その違いは明らかです。
- グレスペシャルF: 魚が突っ込むと、胴が柔軟に追従。強烈な魚の引きを吸収し、じわりじわりと魚を浮かせる。
- グレ競技スペシャル4: 魚が突っ込むと、張りのある胴で魚の走りを強引に止め、力強いリフトパワーで一気に魚を浮かせる。
以上の特性から、タフコンディション下で細ハリスを駆使し、1尾をじっくりと獲りたい場面では「グレスペシャルF」が最適。一方で、ハエ根が点在する場所で強引に根から引き剥がしたい、あるいは競技会で手返し良く数を伸ばしたい場面では「グレ競技スペシャル4」に絶対的な信頼が置けます。
グレスペシャルFの『新設計の穂先』と『軽さ』がグレ競技スペシャル4を凌駕する操作性を実現

| グレスペシャルF 1.25号5m | グレ競技SP4 1.25号5m | |
|---|---|---|
| 穂先の長さ | 約93cm | 約95cm |
| 自重 | 188g | 190g |
| モーメント | 19.7 | 20.6 |
| 竿尻から重心までの長さ | 約104.7cm | 約108.4cm |
今回比較したグレスペシャルFの1.25号5mとグレ競技スペシャル4の1.25号5mは「穂先の長さ」「自重」「モーメント」が大きく違う訳ではありません。しかし、実際に使ってみると明らかにグレスペシャルFが軽く、操作性が優れていると感じることができます。
そして、グレスペシャルFに搭載された革新性な穂先が新たなメリットを生み出しています。グレスペシャルFの穂先径は0.88mmと、グレ競技スペシャル4(0.75mm)よりも太い設計。これにより、重めのウキを乗せても全く不安がなく、より遠投することが可能に。攻められるポイントが格段に広がりました。

「でも、穂先が太いと繊細さが失われるんじゃないか?」
私も最初はそう懸念していましたが、それは全くの杞憂でした。実釣での感度や食い込みの良さは、グレ競技スペシャル4と比べて一切遜色ありません。
むしろ、穂先に適度な張りが生まれたことで、風の中でのライン操作が驚くほどやりやすい。「これまで以上に緻密な仕掛け操作が可能になった」、というのが私の感想です。この「操作性の高さ」は、グレスペシャルFが持つ穂先の影響が大きいと感じます。

- グレスペシャルFの穂先の秘密はウルトラASD?
- グレスペシャルFには、アテンダー3で初採用となった「ウルトラASD」が搭載されています。しかし、その搭載箇所は「竿先」としか書かれていません。気になってメーカーに問い合わせてみましたが、「企業秘密です」との回答でした。
普通に考えれば「穂先と#2の継ぎ部分にウルトラASDを搭載している」と思うはず。しかし、私は穂先のソリッド部分とチューブラ部分との継目にウルトラASDを搭載しているのでは?と推測しています。
穂先を太くしたことで失われた“しなやかさ”を、ウルトラASDの継ぎ目が補っている。そう考えると、グレスペシャルFが実現した「張りと柔軟性を両立した新たな穂先」の性能にも、すべて納得がいくのです。
「柔」のグレスペシャルF vs 「剛」の競技スペシャル4。あなたに合うのはどっち?

グレスペシャルFとグレ競技スペシャル4、どちらの竿を選ぶべきか。その答えは、あなたが「グレとのやり取りをどう楽しみたいか」で変わります。
2本は同じ先調子でありながら、そのやり取り性能は全くの別物。あなたの釣りスタイルに合わせて、最高の相棒を選んでください。
「グレスペシャルF」は、こんなあなたに
- じっくり派: ハエ根が少ない場所で、魚とのスリリングなやり取りを心ゆくまで楽しみたい。
- テクニカル派: 活性が低いタフな状況で、細ハリスを駆使して価値のある1尾を獲りたい。
- 安心感重視派: 胴調子のような安心感のあるやり取りで魚と勝負したい。
「グレ競技スペシャル4」は、こんなあなたに
- 速攻派: ハエ根際で掛けた魚を、一気に引き剥がし勝負を決めたい。
- トーナメント派: 競技会の限られた時間でテンポ良く数を釣りたい。
- 主導権重視派: 常に自分が主導権を握り、魚をコントロールするやり取りがしたい。
「柔」の力で相手を制すグレスペシャルFか、「剛」の力で真っ向勝負を挑むグレ競技スペシャル4か。自分の好みに合う竿を選ぶことで、グレ釣りが、もっと面白くなるはずです。

グレスペシャルFがオートマチックなやり取り性能。グレ競技スペシャル4がマニュアル的なやり取り性能といった感じです。
グレスペシャルFは口太グレに特化。スペックとラインナップから見る「F」の狙い

1.5号までのラインナップの「グレスペシャルF」は、ターゲットを「口太グレ」に完全に絞り込んでいると思って良いでしょう。尾長グレとのパワーファイトではなく、繊細なアプローチで食い渋る口太を攻略することに、その性能のすべてが注ぎ込まれています。
グレスペシャルFのラインナップ
| 号数 | 標準全長(m) | 標準自重(g) | 先径 | 錘負荷(号) | 適正ハリス(号) |
|---|---|---|---|---|---|
| 0.75 | 5.3 | 182 | 0.88 | 1〜3 | 0.8〜2 |
| 1 | 5.0 | 178 | 0.88 | 1〜3 | 1〜3 |
| 1 | 5.3 | 192 | 0.88 | 1〜3 | 1〜3 |
| 1.25 | 5.0 | 188 | 0.88 | 1〜4 | 1〜3 |
| 1.25 | 5.3 | 200 | 0.88 | 1〜4 | 1〜3 |
| 1.5 | 5.0 | 192 | 0.88 | 1.5〜4 | 1.25〜4 |
| 1.5 | 5.3 | 207 | 0.88 | 1.5〜4 | 1.25〜4 |
グレスペシャルFを使うことで得られる、最大のメリットは2つあります。
- 「圧倒的軽快感」がもたらす、集中力の持続:特筆すべき軽さと優れた重量バランスは、釣り人の疲労を極限まで軽減します。これにより、朝マヅメの集中力を夕マヅメまで持続させることが可能に。疲労で操作が雑になりヒットチャンスを逃すということもなく、最高のパフォーマンスを持続できるでしょう。
- 「竿の軽さ」がもたらす異次元の操作性:軽い竿は、単に持って楽なだけではありません。竿が軽ければ軽いほど、仕掛けをより繊細に操作することができます。まるで自分の腕の延長のように扱えることで、精密に仕掛けを操り、狡猾なグレの口元へサシエを届けることを可能にしてくれます。
グレスペシャルFは間違いなく掛けるまでの性能を重視する竿。あなたのグレ釣りにおいて多くのヒットチャンスを生み出してくれる1本となるはずです。
所有欲を掻き立てる。伝統と革新が融合したデザインを徹底チェック

グレスペシャルFは赤・黒・金の「がまかつ王道の色」を使用したデザイン。特に金色部分が多く、非常に華やかな印象を受けます。ここではカタログでは分からない各部分の質感などもチェックしていきましょう。
王道の黒×金。細部に宿る「がま磯」ならではの機能美


グレスペシャルFのデザインで最も印象的な「金色」。各部部の金属パーツは全て金色、元竿の竿名称部分の文字と柄も金色にし、非常に統一感のあるデザインとなっています。

ガイドはチタン&カーボンハイブリッドフレームの「TC-IMガイド」を採用。軽快な竿操作を実現するのに一役買っています。一番大きな違いはパイプ部分が樹脂からカーボン強化樹脂に変更された点で、従来のIMガイドと比べて25〜46%の軽量化と25〜45%の強度アップを実現しています。


従来のIMガイドは既にメーカーの生産が終了しているため、今後はTC-IMガイドに切り替わっていくようです。
リールシート:吸い付くようなフィット感。スリム形状が感度を増幅


リールシートはグレ競技スペシャル4と同形状。スリムなスクリューシートは手が小さめの方でも握りやすく、濡れても滑る心配がありません。

スクリュー部分はグレスペシャルFの専用デザインです。スクリュー部分のデザインは非常に凝った作りで高級感があります。リールシート部分のパーツも金色ですが、若干艶消しっぽい金色で竿全体を見た時のアクセントになっています。
エンドグリップ:濡れた手でも滑らない。実釣性能を高めるオリジナル仕様

エンドグリップの形状はアテンダー3のような立体形状ではなく、円筒形状。昔から採用されてきたスタンダードなエンドグリップ形状です。グレ競技スペシャル4は滑り止め塗装無しの仕様でしたが、グレスペシャルFは滑り止め塗装が施され、しっとりとした質感に仕上がっています。
竿袋:高級感を演出する専用デザイン

竿袋は従来のがま磯で採用され続けているニット製。グレスペシャルF専用の黒地に金色のラメが装飾された生地で、グレスペシャルFのイメージにピッタリのデザインとなっています。
【まとめ】がま磯 グレスペシャルFは、こんな釣り人にこそ使ってほしい!

2025年秋、がまかつが発売した「グレスペシャルF」。その核心は、『高精度な操作で食い渋るグレを掛け、胴の柔軟性でいなし獲る』という、次世代のテクニカルな釣りを実現する性能にあります。
あなたがこの竿を手にすべきか、3つのポイントで振り返ってみましょう。
- 「操作性」を極めたい:仕掛けの精密な投入と、繊細な操作を追求する、まさにテクニシャン向けの調子。自分の意のままにグレを誘い、掛ける快感を味わえます。
- 「細ハリス」の限界を越えたい :特筆すべきは、従来の先調子にはなかった「胴の柔軟性」。これにより、細ハリスへの負担を劇的に軽減します。今まで細ハリスで喰わせても獲れなかった一尾との出会いを可能にする、大きな武器となるでしょう。
- 「口太メインでも、不意の良型尾長」に備えたい:0.75号~1.5号というラインナップが示す通り、メインターゲットは口太グレ。しかし、そのしなやかながらも強靭な粘りは、40cmクラスの尾長グレにも十分対応可能。対応力の高さも魅力です。
3つのポイントのうち、どれか一つでも当てはまるようなら、グレスペシャルFは必ずあなたのグレ釣りにとって大きな味方となるはずです。
「柔」を宿した、次世代の先調子ロッド「グレスペシャルF」。これまでの先調子の概念を覆すその性能を、ぜひ磯で使って体感してみてください。
