
シマノ、ダイワ、釣武者が誇る最高峰のクーラーボックス。カタログ上のスペックや説明を読むと、どれも魅力的ですが、「結局、どれが一番氷が持つの?」「使い勝手まで含めたら、どれが『買い』なの?」というのが本音ではないでしょうか。
高価な買い物だからこそ、買ってから後悔したくないですよね?
そこで今回、鮎釣り師である私が自腹で3社の最上位クーラーボックスを購入。真夏の炎天下の車内に放置し、氷の溶け具合を比較し保冷性能を徹底的に比較しました。
今回比較したクーラーボックスは以下の3つです。
- シマノ フィクセルウルトラプレミアム220 22L
- ダイワ プロバイザーREX ZSS2200 EX 22L
- 釣武者 スーパーギガクールⅡ 22L
さらに、実釣での運びやすさ、手入れのしやすさといった「現場でのリアルな使い勝手」も忖度なしでレビューします。
この記事を読めば、カタログスペックだけでは分からない「真の実力」が分かり、あなたの釣りスタイルに最適なクーラーボックスが必ず見つかります。
ぜひ最後まで読んでクーラーボックス選びの参考にしてもらえれば幸いです。
【ガチ検証】灼熱の車内放置!3大クーラー保冷力テスト

今回の検証に使った3つのクーラーボックスの主なスペックです。
ダイワ プロバイザーREX ZSS2200 EX | シマノ フィクセル ウルトラプレミアム | 釣武者 スーパーギガクールⅡ | |
---|---|---|---|
容量 | 22L | 22L | 22L |
断熱材 | 極厚真空パネル6面 + ウレタン | 極厚真空パネル6面 + ウレタン | ウレタン |
外寸(cm) 奥行×横幅×高さ | 37×53×33.5 | 30×53×33.2 | 31×52×28.5 |
内寸(cm) 奥行×横幅×高さ | 24×35.5×23.5 | 21.1×39.1×25 | 23×44×21.5 |
自重(kg) | 6.8 | 5.7 | 7.6 |
両開きフタ | 〇 | 〇 | ✕ |
フタ取り外し | 〇 | 〇 | ✕ |
コの字ハンドル | 〇 | 〇 | ✕ |
水栓 | 〇 | 〇 | ✕ |
底部滑り止め | 〇 | 〇 | ◯ |
ショルダーベルト | 〇 | 〇 | ✕ |
メーカー希望小売価格(税込) | 84,920円 | 75,900円 | 55,000円 |
実売価格(税込) | 約50,000~60,000円 | 約45,000~53,000円 | 約45,000~50,000円 |
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以下のような条件下で検証を行いました。
- 各クーラーボックス9時〜21時までは車内に放置、21時〜翌朝8時までは室内に放置
- 8時間後、12時間後、23時間後にクーラーボックスを開けて氷の残量を測定
- 使う氷:プレートアイス1.7㎏
検証した日は「曇り時々晴れ」で予報最高気温は36℃。9時〜12時ぐらいまでは車内の後部座席温度は40℃ちょっとまで上昇。午後は曇りの時間帯が多く車内は36℃程度でした。21時には車内温度が28℃程度になったため室内へ移動して氷の残量を計測しています。
【検証結果】一番氷が残ったのはダイワ。僅差でシマノが続く
保冷力の検証結果は以下のようになりました。
- 1位:ダイワ プロバイザーREX ZSS2200 EX 22L
- 2位:シマノ フィクセルウルトラプレミアム220 22L
- 3位:釣武者 スーパーギガクールⅡ 22L
氷の残存量は以下のように推移しています。
経過時間 | ダイワ プロバイザーREX ZSS2200 EX | シマノ フィクセル ウルトラプレミアム | 釣武者 スーパーギガクールⅡ |
---|---|---|---|
0h(9時) | 1,700g | 1,700g | 1,700g |
8h(17時) | 1,394g | 1,402g | 1,267g |
12h(21時) | 1,096g | 1,070g | 887g |
23h(8時) | 575g | 433g | 193g |
ダイワ プロバイザーREX ZSS2200 EX 氷の残存量の推移







ダイワのプロバイザーREX ZSS2200 EXは今回検証した他の2つのクーラーボックスよりも一回り大きいサイズ。その分、入っている断熱材の量も多く、加えてシールドロックで機密性が高いことが保冷力が高いのではないかと考えています。
開始から12時間後まではフィクセル ウルトラプレミアムとの差は僅かでしたが、23時間後の計測では明らかな差が出てきています。氷の残量が減ってきてからの氷の溶けにくさが特徴で、少ない氷でも長時間保冷可能なクーラーボックスです。
シマノ フィクセルウルトラプレミアム220 氷の残存量の推移







シマノのフィクセルウルトラプレミアムは、極厚の真空パネルを搭載し、高い保冷力を実現。保冷力はプロバイザーREX ZSS2200 EXに僅かに劣るといった結果でしたが、日帰り釣行で使う分には全く互角の保冷力を持っていると言って良いでしょう。
シンプルでコンパクトな見た目とは裏腹に、最高クラスの保冷力を持つフィクセル ウルトラプレミアムは真夏の灼熱の環境下でもしっかりとクーラーボックス内の飲み物や食べ物を保冷してくれます。
釣武者 スーパーギガクールⅡ 氷の残存量の推移







釣武者のスーパーギガクールⅡは「6面真空パネルのクーラーボックスを凌駕する」という謳い文句でしたが、6面極厚真空パネルを搭載したダイワとシマノのクーラーボックスには保冷力には及ばず。
しかし、検証開始から12時間後の氷残量が他2つの極厚真空パネル採用のクーラーボックスの80%程度の残量があるので、真夏の鮎釣りで使う際にも長時間保冷してくれるクーラーボックスであることは間違いありません。
保冷力だけじゃない!各モデルの「使い勝手」を徹底レビュー


クーラーボックスを選ぶにあたり、保冷力は最も重要な性能ですが、運搬性やフタの開閉のしやすさ等、使いやすさも重要な要素となります。ここでは各モデルの「保冷力」と「使いやすさ」を考慮しておすすめ順に、それぞれのクーラーボックスについて解説していきます。
おすすめ度1位:【総合力No.1】シマノ「フィクセル ウルトラプレミアム」

フィクセル ウルトラプレミアムは今回検証したクーラーボックスの中では最もコンパクトで軽量。持ち運びしやすく、車内でも置き場に困りません。そして保冷力も最高クラス。
保冷力だけでなく、使いやすい大きさと重量のフィクセル ウルトラプレミアムは【総合性能No.1のクーラーボックス】で、今回検証したクーラーボックスの中では一番おすすめです。

フィクセル ウルトラプレミアムが備えている機能や装備は以下のような内容です。
両開き可能なフタ

前後どちらからでも開閉可能なフタは、車の中で他の荷物に囲まれている時でも開けやすい方向から開閉できる便利な機能です。狭い車内の中で縦に置いても横に置いても楽に開閉でき、置く場所に困ることはありません。
フタの開閉はとても簡単。天面にあるレバーを引いて上に持ち上げれば開けることができ、閉める場合はフタを下ろすだけです。きちんと閉めるためにフタを下ろしたあとに、少し上からフタを押さえつけてやれば簡単にしっかりと閉めることができます。
ワンアクション水栓

つまみを90度捻って開閉するヒンジ構造の水栓は開けた時に水が手にかかることがないので、手を汚さずに栓を開閉できる点と、栓がヒンジと一体型のため、栓を紛失することがない点が特徴。
栓を開けた時に手に水が掛かってしまった、栓を紛失してしまった、という点をを克服し、より使いやすくなった水栓です。
抗菌ボディ

抗菌剤「ノバロン®」入りプラスチックを本体インナー部に採用。今までの通常のプラスチック樹脂と比較し大腸菌、黄色ブドウ球菌を99.99%減少させる効果が確認されているとの事。コーティングではなく樹脂練り込みタイプのため、長期間使用後も効果を発揮してくれます。
ただし、ホコリが付いた状態では抗菌機能を発揮しないということなので、使う前にはきちんとタオルやウェットティッシュなどで表面のホコリを除去しておきましょう。
対荷重設計

大人が腰かけても大丈夫な強度を確保。昼食時に腰かけてイス代わりにすることが可能です。
以前のクーラーボックスはフタの強度が不足して破損する可能性があったり、腰かけてしまうとパッキンが潰れて変形し保冷力低下の恐れがあったりして、イス代わりにすることはリスクがありましたが、フィクセルウルトラプレミアムは心配なくイスの代わりとして使える設計となっています。
底部の滑り止めゴム

底部4か所に滑り止めのラバーを装備。クーラーボックスが滑って傾いたり、動いたりするのを防いでくれます。
しかし、車内への積み下ろしの際にクーラーボックスを滑らせて移動させるのが非常にしづらいので、私としては、滑り止めゴムはクーラーボックスの同梱品として付属してもらって、必要な人は取り付けるという形にしてもらった方ほうが良いのではないかと思っています。

クーラーボックスを車から出し入れする場合、滑らせて移動させたいことが多いので、滑り止めがあると意外と不便だったりします。
片手で持てるコの字ハンドル

コの字ハンドルは片手で持つ時に非常に便利。シマノやダイワのコンパクトなクーラーボックスでは標準装備といっても良い装備です。
片手でクーラーボックスを持つことができると、もう片方の手で車のドアを開けたり、他の道具を持ったりできるので、使っていると「片手で持てるのは便利だなぁ」と実感します。
トレー、ショルダーベルトが付属

フィクセルウルトラプレミアムは専用のトレーとショルダーベルトが付属します。
トレーはあまり冷やしたくないものを入れたり、濡らしたくないものを入れたりできるので、使ってみると意外と便利なアイテム。
ショルダーベルトは私は使っていませんが、クーラーボックスを持ってちょっと距離があるところを移動する場合はハンドルを持つより、ショルダーベルトで担いだ方が楽なので、使い方に合わせてショルダーベルトを取り付ければ良いと思います。
おすすめ度2位:【保冷力モンスター】ダイワ「プロバイザーREX ZZS EX」

見た目はゴツくて大きく、重量も重い。しかし、保冷性能が最も高いのがプロバイザーREX ZZS EX。
シマノのフィクセルウルトラプレミアムと同様の6面極厚真空パネル採用ですが、保冷力はフィクセルウルトラプレミアムを超える性能で今回比較したクーラーボックスの中ではナンバーワン。特に氷が少なくなってからも溶けにくいので、少ない氷でも長時間保冷可能なクーラーボックスです。
コンパクトで軽いフィクセルウルトラプレミアムと比べると、持ち運びや車内に置いて使うには少し劣りますが、便利な機能はフィクセルウルトラプレミアムと共通点が多く、長時間の保冷力を第一に考えながらも使いやすさも求める方には最適なクーラーボックスです。

プロバイザーREX ZZS EXが備えている機能や装備は以下のような内容です。
マッスルボディ

大人が座っても大丈夫な強度を確保した「マッスルボディ」。イス代わりとして使用できるので、休憩時に重宝します。
ワンハンドオープン

前後どちらからでも片手で開閉可能。天面にレバーが付いているのでクーラーボックスの隣に荷物があっても開閉できるので車内でクーラーボックス開閉のためのスペースを考えなくても大丈夫です。
フタの開閉は天面のレバーを引いて開けることができ、閉める場合はフタを下ろすだけ。誰でも簡単に開閉ができるフタになっています。
シールドロック機構

天面のレバーを押し込むことで、フタをより強く密着させることができ、クーラーボックスの密閉性がアップします。そのためクーラーボックスを傾けたり衝撃を受けたりした際に、水漏れすることを大幅に軽減。
この「シールドロック」によって保冷力がアップするとは記載がありませんが、気密性が向上しているということは保冷力向上にも良い影響があるのではないかと私は考えています。
跳ね上げ水栓

シマノのフィクセルウルトラプレミアムと同様のヒンジ式の水栓で、水栓を開けた時に手が濡れることがなく、水栓を紛失することもありません。
シマノのフィクセル ウルトラプレミアムとの違いは水栓の大きさ。フィクセル ウルトラプレミアムがΦ16程度の口径なのに対して、プロバイザーREX ZZS EXはΦ24口径。素早くクーラーボックス内の水を排出することができます。
滑り止めラバー「ふんばるマン」付き

こちらもシマノのフィクセルウルトラプレミアムと同様に底部4か所に滑り止めのラバーを装備。車内でクーラーボックスが動いてしまうのを防ぎます。
しかし、滑らせて移動させることが困難なので、同梱品として付けたい人だけ付ける仕様に変更して欲しいですね。
持ち運びに便利なロングハンドル

コの字ハンドルは片手で持ち運びするのに非常に便利。プロバイザーREX ZZS EXのハンドルは真上で軽くロックが掛かる仕様のため、ハンドルを真上で固定することが可能です。
ショルダーベルト付属

クーラーボックスを肩に担げるようにショルダーベルトが付属します。
クーラーボックスを車内へ積み下ろしする場合はハンドルのほうが便利ですが、少し距離を移動する場合はショルダーベルトで肩に担いだ方が楽。好みや使い方に合わせて「ハンドルを持つ」、「ショルダーベルトで担ぐ」を使い分けることができる仕様となっています。
【個性派】釣武者「スーパーギガクールⅡ」はアリかナシか?

通常のクーラーボックスのような樹脂素材ではなく、鋼板を使った個性派クーラーボックス「釣武者のスーパーギガクールⅡ」。
保冷力はシマノのフィクセル ウルトラプレミアムとダイワのプロバイザーREX ZZS EXに敵いませんでしたが、今回の検証結果から、普通の真空パネルを使用したクーラーボックスより保冷力は優れていると考えています。
私は鮎釣りで使うのであればスーパーギガクールは「アリ」だと断言します。
重い、ハンドルがなくて持ち運びが不便、蓋が両開きできないし外せもしない、というようなデメリットはありますが、鮎釣りではクーラーボックスは車の中に積んだままの状態がほとんど。重くて、持ち運びがしにくくても大きな問題とはなりません。
真夏の車中に置きっぱなしにするクーラーボックスは保冷力が高いことの方が重要。私は初代スーパーギガクールを長年愛用していましたが、「不便でとても使えない」と思うようなことはありませんでした。
しかし、今回検証したフィクセルウルトラプレミアムやプロバイザーREX ZZS EXと比べると、保冷力と使い勝手の面で劣るので、「人とは違うクーラーボックスを所持したい!」という方向けのクーラーボックスとなってしまいます。

スーパーギガクールⅡが備えている機能や装備は以下のような内容です。
ウレタン発砲一体成形構造

スーパーギガクールⅡに採用されている断熱材は、多くのクーラーボックスに採用されているウレタン発泡材。断熱材として多くのクーラーボックスに使用されていて、保冷力・重さ・価格のバランスに優れる断熱材です。
断熱性能は真空パネルに劣りますが、スーパーギガクールⅡに採用されているウレタン素材は特注の硬質発泡ウレタンで断熱性能が抜群。さらにスーパーギガクールⅡはウレタンを継目がない構造で成形することにより、高い保冷力を実現しています。
外面材に耐食・耐熱・熱反射性に優れたガルバリウム鋼板を採用

スーパーギガクールⅡの外面はガルバリウム鋼板を採用し、耐久性と熱反射性能を高めています。加えて特殊熱反射塗装を施し、太陽光の熱反射性能を向上させているので屋外で使う際のの保冷力が初代スーパーギガクールよりも向上しています。
内面材は錆に強く熱伝導に優れたステンレス板を採用


熱伝導に優れたステンレス板は氷を入れると素早く内部を冷やしてくれます。保冷力が高いだけでなく、素早く内部を冷やすことができるのはステンレス板採用のスーパーギガクールⅡならではの特徴。
採用されているステンレス板は錆には強いですが、錆びない訳ではないので注意しましょう。私は釣った鮎を氷締めする際、初代スーパーギガクールに氷と水と塩を入れたら、その後に錆が発生してしまいました。
塩水を張るのは錆のリスクが高いのでやめた方が無難です。もし塩水を張ってしまったのであれば、その後に丁寧に真水で洗うことをおすすめします。
丸洗い可能な密封構造

通常の樹脂クーラーボックスは密封構造ではないため、クーラーボックスに水をかけて洗ってしまうと合わせ目部分から内部に水が侵入し、保冷力の低下を招いてしまうこともあります。
しかし、スーパーギガクールⅡは完全密封構造で丸洗いが可能。汚れていたら水をジャブジャブかけて綺麗に洗えます。

洗う際に気を使わなくても良いのが「スーパーギガクールⅡ」。
保温も可能
シマノとダイワのクーラーボックスと違い、保温も可能なのが「スーパーギガクールⅡ」。
冬場に保温しておきたい飲み物や食べ物を入れて使うことができます。保温で使うケース使うことは少ないと思いますが、保温可能ということを知っておけば役に立つシーンがあるかもしれません。ただし、火気は使用不可とのことです。
【結論】鮎釣り用クーラー、選ぶならコレ!

高機能クーラーボックスでおすすめするのは、やはり『シマノ フィクセルウルトラプレミアム220』です。
その理由は以下の3点
- コンパクトで場所をとらない
- 最高レベルの保冷力
- 保冷力最高クラスのクーラーボックスの中で割安
保冷力では「ダイワ プロバイザーREX ZZS EX」に僅かに劣りますが、実用上ではほぼ同等。その上実売価格は釣武者のスーパーギガクールⅡとあまり変わらず、コンパクトで場所をとらないのであれば、『シマノ フィクセルウルトラプレミアム220』が選択肢の最有力候補となります。
私も実際に使い比べてみると『シマノ フィクセルウルトラプレミアム220』が一番使い勝手に優れていて、今は鮎釣りで必ず使うクーラーボックスです。2025年に買い替えるまでは初代スーパーギガクールを使っていて、満足していましたが『シマノ フィクセルウルトラプレミアム220』を使ってみると「やはり便利だなぁ」と実感しています。
今回検証したクーラーボックスはどれも高い保冷力を持っていますので、鮎釣りで使うならどれを選んでも満足できる性能を発揮してくれます。是非この記事を参考にして後悔のないようクーラーボックスを選んでほしいと思います。
